株式会社山下設計

決められた空間ではなく自由な空間=「PLAY FIELD」

株式会社山下設計

写真左:立石直敬さん、写真右:茂木一樹さん

株式会社山下設計
茂木一樹さん、立石直敬さん

プロポーザルコンペの際、参加各社へ『OEC OFFICE』という新社屋に求める要素を頭文字で示した時期がありました。設計者としてその受け止めはどうでしたか?

【茂木さん】
御提示頂いた『OEC OFFICE』という頭文字のコンセプトを最初に見た時は、とても遊び心のある企業様だなと感じました。
その後、熟読していくと実はこれからのオフィスに求められる9つの重要なキーワードが網羅されていることに気づき、オーイーシー様の新社屋に対する思いや期待値を強く感じるとともに、このプロポーザルコンペに至るまでに、オフィスについてかなり研究されたのだろうと思いました。
それと、このプロジェクトコンセプトは今回の建物規模にも非常にマッチしていると思いました。
数万㎡もあるような高層大規模オフィスではなく、社員の皆さんがFACE to FACEで対話できる規模だからこそ、開放的で、創造的で、会社で働くことが心地よいと感じるようなオフィスを提案できる可能性があるのではないかと思い、とても魅力的に感じました。

茂木一樹さん

コンペの際にご提案頂いた『Work Space から Play Field へ』というフレーズが我々の心に響きました。どのようないきさつでこの名フレーズは生まれたのでしょうか?

【立石さん】
コロナウイルスの蔓延が発端ではありますが、現代は今までとは異なる働き方について模索し続けている時代でもあり、自宅をはじめ、街中のホテルやカフェはもちろん、遠方で仕事をする人も増えてきています。
オフィスを離れて仕事ができるようになったことはIoTの進歩によるところが非常に大きく、歓迎すべきことだと思いますが、このようなリモートが当たり前となった現代において、これからのオフィスを提案するためには『オフィスで働く意味』を改めて考える必要があると感じました。
今回の提案を進めていく上で、私達はオフィスで働く「人」に着目しました。従来オフィスの特徴でもありますが、固定化された組織、決められた時間・場所で働く人を「WORKER」とした場合に、これからの働く人のあり方として、プロジェクト単位でチームが編成され、チームや個々の判断で、好きな時間・好きな場所で自由に創造していく人=「PLAYER」が相応しいのではないかと考えました。
そのような視点で執務環境を捉えると、決められた自席や空調でコントロールされた均質な空間=「WORK SPACE」ではなく、多様な環境を用意し、席に縛られることなくオフィスを駆け巡り、仲間達との対話を活性化させながら、創造性を発揮していく自由な空間=「PLAY FIELD」のような環境を構築すべきではないか、と考えていきました。
オーイーシー様が掲げた次世代オフィスに求められるものを私達なりに試行錯誤した結果、『Work SpaceからPlay Fieldへ』というフレーズにたどり着いた、という感じです。

立石直敬さん

新社屋について、どういったイメージを持って設計されましたか?

【茂木さん】
モノやカタチをつくるのではなく、ソフトをつくるIT 企業のヘッドオフィスとして、どのようなスペースが必要になるかを考えました。製造業等のオフィスの場合、自社製品のPRの場をつくることが多いと思いますが、オーイーシー 様の場合はそれに代わるものとして、IT 技術を活用した体験の場であったり、社員とゲストとの交流の場であったり、地域に開かれたイベントの場であったり、色々なことを自由に広く発信できる場を設けることが重要だと感じました。
そういった活動の場をソフトパーク内に開くことで、オーイーシー 様の発展はもちろんのこと、オーイーシー 様を中心にソフトパーク全体が活気づき、新たな魅力が生まれるきっかけになるのではないかと考えました。
加えて、先程も触れましたが、働く場所や時間の自由度が高まり、オフィス内もフリーアドレスを前提としたABW(Activity Based Working)が必要だと思い、働く環境として魅力的で、より創造的で、心地よい多様な場所をどのように設けるかを考えました。

新社屋のデザインについて苦労した点やこだわった点について教えてください。

【立石さん】
苦労した点としては、機能とデザインの両立だと思います。3,4 階の執務室は天井レスで検討を始めましたが、オフィスとして必要な吸音性能や空調効率等を考慮すると、必ずしもベストではないということがわかりました。そこで、集中して働く場所としては天井を張り、それ以外の部分は天井レスとして空間の雰囲気を変えるという今の案にたどり着きました。
メリハリが効いた良いバランスになったのではないかと今は考えています。 
こだわった点としては、執務室のオフィスレイアウトの可変性に追従する天井照明・空調のグリッドゾーンシステムや、OEC CUBE やカフェテリアの内装です。OEC CUBE はそこで展示されるものや人々の活動風景を美しく見せるためのデザインのあり方についてを試行錯誤し、また、カフェテリアは気分を変えて休憩したり、ワークスペースにも利用できる環境を整えるため、街中のカフェのようなカジュアルさを持たせることを重点的に考えていきました。

当社社員に向けてメッセージをお願いします。

【茂木さん】
新社屋の竣工した姿は完成形ではありません。私達が提案させていただいたものは、社員の皆様が働きやすいように考えたフォーマットのようなものだと考えており、皆様が日々使いながら自由にカスタマイズし、より皆様にあった働き方ができるように隅々まで使い倒していただけたらと思います。

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